地獄の沙汰も金次第?閻魔大王とは

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太宗寺の閻魔さま お祭・催事
太宗寺の閻魔さま
長野県典厩寺の閻魔さま

長野県典厩寺の閻魔さま

「地獄の釜の蓋もあく」ということわざをご存じだろうか。
言葉の響きは、なんだか恐ろしげだが、意味は「地獄のお休み」を指す。
つまり、日頃罪人たちを茹で上げている釜も蓋を開いて乾かしている…というイメージなのだ。地獄でさえお休みしているのだから、人間さまも休みなさい、という意味であり、昔は「薮入り」と言われてお店奉公している使用人たちがお休みをもらえる貴重な日だった。それが、旧暦の1月16日と7月16日。正月とお盆ということである。
それにかけてか、都内の閻魔さまを祀るお寺では、7月16日に「閻魔大王」のご開帳をしているところが多い。そこで私は、少しだけ早くに閻魔さま巡りをしてきた。

千本えんま堂

千本えんま堂

閻魔大王は地獄の王ではない

実は以前、友人に「閻魔さまのご利益って何?」と聞かれてちょっと困った。
「子育て祈願かなぁ」と答えたが、考えてみたら閻魔大王を祀った理由は、たぶん、天国か地獄行きの采配に手心を加えてほしい──つまり地獄行きはなんとしても許してもらいたい──という心根から始まっているんではないかと思っている。
閻魔大王は、三途の川の向こうで、人間が生前に何をしたかを見て死後にどの世界へ送るのかを決める裁判官である。
この大王の手伝いをしていた、という人間が平安時代にいた。
小野篁(おののたかむら)という人で、めちゃくちゃ頭が良かったと記録されている。百人一首に彼の句が選ばれているが、「わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人の釣舟」と詠んだ人である。
で、この人、毎晩井戸を抜けて地獄へ行き、閻魔大王の裁判の補佐をしていたという。この小野篁が開いたお寺が、京都の「千本えんま堂」だ。
今度京都に行った際には、是非訪ねたいと思う。
何しろこのあたりを、北野天満宮千本釈迦堂釘抜地蔵建勲神社と歩いてしまうと完全に見飛ばしコースにハマってしまっているのだ。
なので、場所も看板も見たことがあるのだが、
肝心のえんま様を拝顔したことがない、という情けない話。
以前はあまり地獄にも閻魔さまにも興味がなかったためだが、なんとも悔やまれる。

上品寺の閻魔さま

上品寺の閻魔さま

東京都内でえんま巡り

日本では、閻魔は地蔵菩薩の変化だとも言われているので、お地蔵さまと閻魔さまは同一視されているところも多い。話がややこしくなるだけなどで、簡単にしておくが日本の仏さまはほとんどが、変化である。変化する前の大本はブッダである。

さて、そろそろ都内の閻魔さまをご紹介しよう。
江戸三閻魔と呼ばれていたのが、新宿の太宗寺、巣鴨の善養寺、江戸時代には浅草にあった華徳院(現在は杉並)。また、もっとバージョンアップした「江戸44閻魔」なる巡拝コースもある。「44」というのはやっぱり「死」なのかなぁ。
というわけで、その中からいくつかの閻魔さまをご紹介しよう。

太宗寺の奪衣婆

太宗寺の奪衣婆

・太宗寺(新宿)
一緒に祀られている奪衣婆像の方が怖い。奪衣婆像は賽の河原で亡者の衣服をはぎ取り、その重さで生前の罪の軽重を計っているおばあさんである。
なぜだか、疫病除けや咳止めにご利益があると言われ、新宿には「子育て奪衣婆」を祀る正受院もある。詳細は以前に書いたのでそちらを参照ください。

こんにゃく閻魔

こんにゃく閻魔

・源覚寺(文京区)
こんにゃく閻魔として名高く、眼病平癒祈願に訪れる人の数はナンバーワンかもしれない。また、歯痛止めの塩地蔵、小石川七福神の毘沙門天も祀られている。そういえば、閻魔大王はこんにゃくが大好物らしい。実は都内には「こんにゃく閻魔」と呼ばれる閻魔さまがまだまだいる。
江戸川の安養寺、神谷町の興昭院などであるが、閻魔さまのこんにゃく好きは、源覚寺のいい伝えによるものなのだろうか?
(源覚寺のいい伝え=目の悪い老婆の祈願に閻魔さまが自分の片目を与えたところ、老婆は亡くなるまでずっとこんにゃくを供え続けた)

宝珠院のえんま堂

宝珠院のえんま堂

 

・宝珠院(港区)
港七福神の弁天さまを祀るお寺だが、2メートルにも及ぶ大きな閻魔さまも鎮座する。判決文を記録する司命と司禄の像も一緒に祀られている。ところで、死後の世界で裁判する王は実は10人いるとされている。「十王信仰」と呼ばれているものだが、実は閻魔さまはその1/10に過ぎない。日本では閻魔さまの活躍だけが大きく取り上げられた、ということなのだろう。

ハイテク閻魔

ハイテク閻魔

・法乗院(江東区)
深川ゑんま堂と呼ばれるお寺である。若い人に人気で、なぜならばお賽銭を入れると閻魔大王からお言葉がかけられるからだ。それも祈願内容によってお賽銭を入れる場所が違っていて「ハイテク閻魔」とも言われている。ご本尊の釈迦如来や聖天、変化の元・お地蔵さまもいらっしゃる。が、なんと言ってもお賽銭を際限なくあげたくなる閻魔さまの存在感はバツグンだ。

正蔵院の閻魔さま

正蔵院の閻魔さま

・正蔵院(新宿)
神楽坂にあるお寺のひとつ。本尊は薬師如来だがこちらは秘仏で閻魔さまの頭の上に厨子が据えてある。古い閻魔さまと不動明王さまが鎮座していたが、空襲で元々の像は焼けてしまい、檀家さんから寄付していただいたものが現在の大王と明王なのだとか。ご本尊は現・住職のお母さまが、空襲の中、抱いて逃げて守り抜いたもの。
今回私は、ラッキーなことにご住職の奥さまと、お堂でずいぶん長い間お話をさせていただいた。翌日の閻魔さまの縁日には、参拝者が150人も訪れる予定だという準備でお忙しい中、閻魔さまの前で水ようかんとお茶をずうずうしくもいただいてしまった。
次回お邪魔する際には、閻魔さまに少し手心を加えていただけるよう、お供えのひとつでも持って参りたいと思います。ありがとうございました!

勝専寺

勝専寺

・勝専寺(足立区)
ご本尊は千手観音。「千住」という地名はこのお寺のご本尊にちなんだものとも言われる千住でもっとも古い寺院である。江戸時代、日光東照宮へ参拝へ出かける際の将軍のお旅所でもあった。
その赤い門の姿から赤門寺とも呼ばれている。訪れた日が、閻魔さまの縁日の前日、準備中の境内だったため、写真がちょっとビミョー。一帯では大きな歳時として扱われているようだ。勉強不足である。

世田谷・九品寺の閻魔さま

世田谷・九品寺の閻魔さま

この夏は閻魔さま巡りをしよう、と春頃からずっと思っていた。江戸44閻魔のうち、24〜5寺は巡り終わっていたのだが、今週、縁者が亡くなり、まさしく閻魔さまに「天国へお願いします」とお願いする旅になってしまった。
ちなみに、閻魔さまのご利益は「子どものしつけ」が一番である。
「悪いことをすると(ウソをつくと)、えんまさまに舌を抜かれるよ!」

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