雷さまは除けられる?

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雷除け
ハワイで見た雷神像

ハワイで見た雷神像

2015年10月21日は、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のマーティたちが行った未来の日付だ。未来であった現在も車は空を飛ばないし、レストランでは人が料理を運んでいるし(注文はだいぶんタブレットなどになったが)、レンジでチンしても食材は大きくならない。逆にFAXはほぼ消滅(役所関係ではそうでもないが)、テレビもあれほど見られていないし、でっかくてパワフルな(ガソリン)車は規制されていく一方である。
他方で、1955年に町の時計台を壊した落雷は、今も正確な予報はできない。雷雲の発生発見くらいがせいぜいで、ゴルフ場では雷鳴が遠くからでも聞こえると警報が鳴り響く。100年たっても正確な落雷の位置や時間は、未来から来た人間でないとわからない。今でも雷は神頼みである。

東京・三島神社の雷井戸

東京・三島神社の雷井戸

雷さまを操ったお坊さま

不思議なことに、古来日本では雷を操ることのできるお坊さまたちがいく人もいた。一般人向けとしても浅草寺の四万六千日で授与されるお守りに「雷除け」というものがあるし、「くわばら、くわばら」という言葉は雷除けの呪いと言われている。
何千年の昔も今も、雷を予知することも事前に避けることも難しい。だから、雷さまを操れるお坊さまは人々たちから尊敬を集め、徳の高い僧に違いないと言い伝えられたのである。

三嶋大社近くの雷井戸

三嶋大社近くの雷井戸

雷落ちない、は不落守に

静岡の三島大社近くには「雷井戸」という有名な場所がある。直径が3メートルもあり、今でもこんこんと水が湧いている。雷が落ちたところから湧水し始めたという説があるようだ。
この縁なのだろうか。東京の三島神社(下谷)にも「雷井戸」がある。こちらは境内に落ちた雷を神主が井戸に閉じ込めた井戸である。「出してくれ」と頼む雷に二度とこの地に落ちないと約束するならば、と井戸から出してあげたという話が伝わっている。落ちないお守りは、「不落守」として受験だけでなく、収穫、人気、株価、信用、収入など様々な祈願に応えてくれるものとなっている。

建仁寺にある風神雷神の屏風

建仁寺にある風神雷神の屏風

「くわばら、くわばら」の2つの説

「くわばら、くわばら」と言えば、雷除けのまじないとして知られるが、実はそのいわれは2つあるらしい。
1つは、菅原道真(讒言により左遷され悲嘆の中亡くなった)が怨霊となり京の都で雷を落としまくっていた時、道真の京の家があった場所「桑原」だけは雷が落ちなかったことから、その地名を唱えることが雷除けになるとの話になった、というもの。今でも「中京区桑原町」は存在するが、ほとんどが御所の南側を通る丸太町通りとなっていて、もう名を残す以外の意味はない地名となってしまっている。
もう1つは、大阪和泉市の桑原町にある西福寺に伝わるお話。洗濯中の老婆のそばの井戸に雷が落ちたが、タライで蓋をし雷を閉じ込めた。二度とこの地に落ちない約束をした上で雷を逃すのだが、この時に「桑原」と言えば間違うことがない、と言ったとか。この雷井戸は大事に残されている。

浅草寺の雷除け守り

浅草寺の雷除け守り

雷さまと取引したお坊さま

東京住まいの人でも「霊巌島」の場所がすぐわかる人はあまりいないだろう。普通に生活していたらたぶん島と気がつかない、東京駅から東に1キロほどの場所にある今は新川という地名になっている場所だ。江戸時代に埋め立てられ、こんにゃく島とも呼ばれた。
ここに高僧・霊巌が創建したお寺・霊巌寺があった場所だからついた地名である。現在は江東区白河に移転したが、霊巌島には7つの不思議があるという。そのうちの2つは「霊岸島には雷が落ちない」「霊岸島には南天を植えても実がならない」というもの。これは霊巌が南天の実と引き換えに雷を除ける祈願を諸神仏にしたからだと伝わっている。今はどうだろう…高層ビルが立ち並ぶ場所になり、雷はずいぶん落ちやすくなった気がする。南天は、よく分からない…。

護国寺の雷除け守り

護国寺の雷除け守り

最後に。
浅草寺護国寺といった観音さまが本尊のお寺で、夏に行われる「四万六千日(ほおずき市)」では限定の「雷除守」が授与される。ちなみに私は毎年いただいている。どんな時にも平穏な心でいられるように、という願いもかけられているから。これは、不作で手に入れることができなかった縁起物の赤とうもろこしの代わりに誕生したお守りなのだそうだ。
げに恐ろしきものは「地震、雷、火事、親父」。後ろの2つはなんとか、注意とコントロールができるようにはなってきたが、やっぱり前の2つはどうしようもない。ああ、でもコントロールを失った親父が、核のボタンなんか持ってたら大変なことではあるが。

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